潟上市立
大豊小学校

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独自性ある環境学習

ミニ八郎湖・流域モデルとしてのビオトープづくり

本校には新校舎建設の際に作られたコンクリートの池とそれに続く水路がある。もともとは水をポンプで循環させていたのだが、ポンプの故障等とともに、平成16年頃までは濁った水がたまっているだけという状態になっていた。それはまさに現在の八郎湖の湖岸と同じ状態であった。

写真:ビオトープづくりを行う児童

植物は八郎湖の旧湖岸部分に生息しているものを移植した。平成19年には最上流部にあたる使われていない池をミニ田んぼにし、田んぼ、流入河川、八郎湖というつながりのミニチュア版が完成した。なお、水路の一部は、植生帯復元場所と生き物の種類や水の透明度を比較したいとの児童の希望を取り入れ、コンクリートのままにしている。

生き物の管理については、地域の生態系の再生を図るため、基本的にビオトープにやってくる生き物はそのままにし、地域のタニシとヌマエビをそれぞれ10匹入れた。児童には生き物を持ち込んだり持ち出したりしないことを徹底している。ただし、教室で観察や飼育をする場合は持ち出しを認めている。

希少な植物や湖岸の生き物を保護する場としてのビオトープ

ビオトープは生き物の観察や植物の水質浄化作用の検証の場として活用されているが、もう一つの大きな役割として希少な植物を育てる場としても機能している。

ビオトープで育った植物は、秋田地域振興局主催の八郎湖植生復元植え付け会で、有志の児童を含めたフォーラムの参加者が植え付けている。

写真:ビオトープと男子児童

また、学校ビオトープは八郎湖と流域とを生き物でつなぐ中継点としての役割もはたしている。各種トンボ類が季節ごとにビオトープで産卵、繁殖、羽化を繰り返し、流域の自然再生にも貢献している。

八郎湖の環境と流域の農業とのつながり

平成19年度から石川理紀之助ゆかりの田んぼを再生する活動に本校の5年生が「田んぼの学校」という名称で取り組むことになった。

八郎湖の環境は流域の農業や人々のくらしと密接な関係があるので、八郎湖の未来を考えるためには流域の農業を理解する必要がある。

そこで八郎湖の環境と農業との関係をつかむことをねらいとして「田んぼの学校」を5年生の総合的な学習の時間に位置づけた。4年生では石川理紀之助の生涯について学習しているので、その発展的な学習にもなる。昨年の活動に取り組んだ児童からは、八郎湖の環境と流域の農業とのつながりを理解することができたとの声が出された。